戦慄のクオリア

 「交渉決裂で、リベレイションが攻めてきた」
まぁ、向こうにはruinという切り札があるのでラスール帝国が折れない限り、交渉は決裂するのは目に見えていた。其れを敢えて、交渉を続けていたのは試験運用を行っていないラ・モールを万全の対策で出動させたい為の時間稼ぎ。其れに気づかずにリベレイション・・・・エレジア連邦は付き合わされていたのだろう。
「こっちが時間稼ぎをしていることに気が付いた奴が居る」
スカーレットが考えていたことと同じことを考えていたのだろう。グレンの言葉はスカーレットの脳内思考を具現化にしたものだった。
「先手必勝で奴ら、攻めてきやがった」
「ruinではなく、普通の爆弾で攻撃しているのは何故なんですか?」
「リベレイションが攻撃しているのはイカルガ軍の収容所だ。イカルガ軍はラスール帝国を恨んでいるし、向こうにはアルフォードが居るからな。イカルガ軍を仲間に引き入れたて戦力の増強を図りたいのだろう。ruinなんか使ったら、全滅だからな」
「ruinは威力の調整ができないのですか?」
「かもな」
今、ラスールが相手にしている勢力は二つ。リベレイションという目的不明の謎の組織と其処と協力関係にあり、ラスールを属国しようとしているエレジア連邦だ(イカルガ王国側は現在、王子と王妃しかいないので、勢力に含めていない)。
其処にイカルガ王国も加わるとなると、さすがにラスール帝国でも厳しいだろう。
「スカーレット」
グレンに名前を呼ばれたスカーレットは思考を外部に押しのけた。真っ直ぐとグレンを見て、彼の命令を待つ。
「一〇日後と言ったが、お前には早急にruinの破壊を命じる。場所は既にラ・モールに打ち込んであるから、其れに従って行け。ラ・モールは一機しかに。故に、ruinの破壊はお前一人で実行しなければならない。そして、ミスは許されない。いいな」
「了解しました」
スカーレットはラ・モールのある地下に向かう為に部屋を出た。部屋の前にはジェイドが居た。
「行くの?」
「嗚呼」
「僕も」
「お前は会長達と一緒に居ろ」
いつもと口調が違う。完全に軍人として戦場に向かう戦士仕様になっている。
「僕は」
「あなたは軍人ではない。同じ人殺しでも、軍人とあなたとでは戦い方が異なるのよ」
尚も引き下がり、何が何でもついて行こうとするジェイドを見て、スカーレットは口調を軍人から、優しい姉のものに戻し、口元には笑みを刻んだ。