だから、既に生存者の中からも死者が出ている。死体は生徒の目にできるだけ触れないように学校裏に置かれ、ブルーシートで隠している。
「此れから、どうなるんでしょうか」
「さぁね」
そんなことを聞かれても、スカーレットだって困る。此の国が此れからどうなるのかを決めるのは上の人間で、スカーレットではないのだ。おかしな話だが、此の国の民ですら決定権はない。
「レレナ、スカーレット」
帰りが遅いのを心配してか、アドルフとミレイが迎えに来た。
「二人きりでデートか?」
こんな時でも、いや、こんな時だからこそアドルフは明るく、冗談を言う。こんな状況だからこそ知らなかった友の一面が分かる。たとえば、こんな時に周りを気遣い、明るく振舞えるアドルフの強さとか。
「わざわざ迎えに来なくても良かったのに。ああ、アドルフが会長とデートをしたかったのかな?」
だから、わざとスカーレットも冗談を言ったのだが、どうやらアドルフには攻撃力が強すぎたようだ。
アドルフは顔を真っ赤にし、奪われた酸素を必死に求めようとする魚のように口をパクパクしていた。
「デデデデデデデ、デートなわけないじゃないないですかっ!」
「?」
言葉がおかしい上に文章になっていない。其のせいか、とてもおかしく、気が付けばみんな笑っていた。
「な、なんで笑うんだよぉ」
アドルフだけが情けない声と顔で抗議をしていた。涙を流したり、お腹を押さえて笑っているミレイ、レレナ程ではないが、スカーレットの口元にも笑みが刻まれていた。そんな自分の顔を窓ガラスの破片で見て、スカーレットは驚いた。まだ、笑える自分が居ることに。
今が戦時下だとは思えない此の状況をエヴァネンスは気づかれないように細心の注意を払いながら見ていた。
「いいね、あそこは楽しそうで」
そう、口にしながらも、其れが本心ではないことはエヴァネンスの顔を見れば誰もが分かることだが、彼の傍には今、誰も居ない。だから発せられた言葉が本心かどうかを分かるのは、発した本人だけだった。
エヴァネンスはある程度の距離を保ちながらスカーレット達と共に体育館を目指した。
スカーレットの監視を初めて六年。スカーレットが生徒会の人間を良く思っているのは分かる。少なくとも他の生徒達よりも。けれど、スカーレットが時々見せる表情や仕草は生徒会に対して嘲笑しているようにも思える。何が本心なのか、本当は彼らのことをどう思っているのか、エヴァネンスには分からなかった。そして、スカーレット自身も同じようにエヴァネンスには思えた。
「此れから、どうなるんでしょうか」
「さぁね」
そんなことを聞かれても、スカーレットだって困る。此の国が此れからどうなるのかを決めるのは上の人間で、スカーレットではないのだ。おかしな話だが、此の国の民ですら決定権はない。
「レレナ、スカーレット」
帰りが遅いのを心配してか、アドルフとミレイが迎えに来た。
「二人きりでデートか?」
こんな時でも、いや、こんな時だからこそアドルフは明るく、冗談を言う。こんな状況だからこそ知らなかった友の一面が分かる。たとえば、こんな時に周りを気遣い、明るく振舞えるアドルフの強さとか。
「わざわざ迎えに来なくても良かったのに。ああ、アドルフが会長とデートをしたかったのかな?」
だから、わざとスカーレットも冗談を言ったのだが、どうやらアドルフには攻撃力が強すぎたようだ。
アドルフは顔を真っ赤にし、奪われた酸素を必死に求めようとする魚のように口をパクパクしていた。
「デデデデデデデ、デートなわけないじゃないないですかっ!」
「?」
言葉がおかしい上に文章になっていない。其のせいか、とてもおかしく、気が付けばみんな笑っていた。
「な、なんで笑うんだよぉ」
アドルフだけが情けない声と顔で抗議をしていた。涙を流したり、お腹を押さえて笑っているミレイ、レレナ程ではないが、スカーレットの口元にも笑みが刻まれていた。そんな自分の顔を窓ガラスの破片で見て、スカーレットは驚いた。まだ、笑える自分が居ることに。
今が戦時下だとは思えない此の状況をエヴァネンスは気づかれないように細心の注意を払いながら見ていた。
「いいね、あそこは楽しそうで」
そう、口にしながらも、其れが本心ではないことはエヴァネンスの顔を見れば誰もが分かることだが、彼の傍には今、誰も居ない。だから発せられた言葉が本心かどうかを分かるのは、発した本人だけだった。
エヴァネンスはある程度の距離を保ちながらスカーレット達と共に体育館を目指した。
スカーレットの監視を初めて六年。スカーレットが生徒会の人間を良く思っているのは分かる。少なくとも他の生徒達よりも。けれど、スカーレットが時々見せる表情や仕草は生徒会に対して嘲笑しているようにも思える。何が本心なのか、本当は彼らのことをどう思っているのか、エヴァネンスには分からなかった。そして、スカーレット自身も同じようにエヴァネンスには思えた。



