ー5年後に戻るー
と、まあそんなことがあって今に至る。
「はいはいこのお皿ね」
わたしはテーブルに置いてあったお皿を加奈子に渡した。
わざと「お皿」の「お」だけ強調して。
加奈子といると口調がうつって、つい男っぽい喋り方になっちゃうから…
もう中学生だし、そろそろ女子力みがいとかないと…あとあと困りそう(笑)
「はい、できた」
加奈子の声と同時に、テーブルに朝ご飯が並べられる。
「いっただっきまーす!」
そう言って、ベーコンエッグを口に入れる。
「おいしーーー」
加奈子は、口調は男っぽいけど実は料理上手。
さっさと朝ご飯を食べ終えると、
歯磨き
着替え
髪セット
といつも通りに準備して、
和室に入った。
和室に入ってすぐ左には、お仏壇がある。
おじいちゃんと…
お母さん
お父さん
仏壇の前に座って、手を合わせる。
ー今日もいい日になりますように。架恋と同じクラスになれるかな?新学年頑張るから見守っててね。ー
心の中でそう言うと、和室を出て玄関に行った。