向かい側のソファーに座った不動さんが、履歴書に目を通すのを、私は固唾を呑んで見守った。
書き損じて、五枚目にしてやっと完成した、苦心作。
誤字脱字は、嫌になるくらいチェックしたし、抜けている項目も無い自信はある。
でも、心配なことが、一つだけ……。
「大学在学中とありますが、アルバイトではなくて社員を希望されているんですよね?」
不動さんが、履歴書からチラリと視線を上げる。
その表情も声音もごく事務的で、特別な感情は読みとれない。
「あ、はい……」
――やっぱり、そこだよねぇ……。
最終学歴。
高校卒で書こうかとも思ったんだけど、現実には私はまだ大学在学中の状態になっている。
履歴書に嘘を書くのは、なんだか嫌だった。



