あまりの激痛に、うめき声も出ない。
目から散った火花が、頭の周りをピ~ヨピ~ヨと、楽しそうに回っている。
「……っ」
私は耐えきれずに、顔を抱えて、その場にしゃがみ込んでしまった。
「あ、悪い……って、君、どちら様?」
低いトーンの渋い声が頭上から降ってきて、
私は一番痛むおでこと、おでこの犠牲のおかげでいくらかは被害が軽かった鼻の頭を押さえながら、涙目でゆっくりと顔を上げた。
目に飛び込んできたのは、やたらと長い、スラッとした足。
仕立ての良さそうなグレーのスーツに包まれた、均整の取れたバランスのいい体躯。
シャープなあごのライン。
引き締まった少し薄めの唇。
通った鼻筋。
その上の、銀縁メガネの奥の、少し鋭さを感じさせる切れ長の綺麗な二重瞼の黒い瞳が、訝しげに私を見下ろしていた。



