『HOTEL クロスポイント』
暗い空をバックに、世にも見目鮮やかな紫色の電光文字が、雨粒に反射してキラキラと輝いていた。
それは、まさしく――。
――ラ、ラ、ラ、
ラブ・ホテルーーーっ!?
あんぐりと、
私は、食事中のカバのように、大口を開けてしまった。
そのまま建物の前を、徐行運転でゆっくり車を走らせる。
高めのブロック塀の切れ間に、白地に赤文字で『IN』の小さな看板が見えた。
その上に掛けられている、シルバーの看板の文字に素早く視線を走らせる。
『ご休憩』が何時の『ご宿泊』が何時のと言う文字が確認できた。
私は、はっきり言ってこの手のホテルには縁がない。
存在は、もちろん知っているけど、入ったことがない。
だから、断言はできない。
けど、普通のホテルじゃ無いことは、私でも一発で分かる。



