――おお。
けっこう、大きな会社じゃない。
土地柄、あまり期待していなかっただけに、その建物の立派さに思わずニヤケてしまう。
が――。
――あ、あれ?
私は、あることに気づいた。
気づいてしまった。
思わずアクセルから足が離れて、がくんと車のスピードが落ちる。
後続車がいたら、派手にクラクションを鳴らされているところだけど、そこまで神経が回らない。
――こ、これってもしかして!?
近づく建物の屋上部分の外壁。
そこに掛かっている看板。
おそらく『会社名』であろうその文字は、会社名を表示するには酷く不似合いな派手な紫色の電飾で彩られている。
ノロノロノロと、
後続車がいないことを幸いに大迷惑なことこの上ない運転をしながら、私は『それ』を、呆然と見上げた。



