【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】



「ひゃっ、降ってきちゃった!」

慌てて車に滑り込んだものの、雨の落ちてくる速度には敵うはずもなく。

せっかくの髪のセットもグシャグシャで、お気に入りのネイビーブルーのパンツスーツも濡れてしまった。

――あーあ。

ハンカチで濡れた髪と服を拭いながら、バックミラー越しに自分の顔を覗きこんで、思わず渋面をつくる。

さらに勢いが強くなった雨粒が、パタパタと派手な音を立てて車のボディを叩く。

私は、エンジンをかけてワイパーを動かした。

拭き取られたフロントガラスの向こうの空は、まだ昼間だというのに、まっくらだ。

『暗雲たれ込める』とは、こんなのを言うんじゃないだろうか?

胸によぎる一抹の不安に、眉をよせる。

――なんだかなぁ。

思えばそれが、これから体験する、『素敵な面接』の予兆だったのかもしれない。