あの別れの夜。

端的に事実だけを記した短い手紙を、食卓の上に置いておいたら、翌朝、手紙の最後に『分かった。』という、父からの更に短い返事が書かれていて、この一件は終わりを告げた。

深夜に家に帰ってあの手紙を読んだ父が、怒ったのか悲しんだのか、私には分からない。

でも翌朝、顔を合わせた父は、そのことについては一切触れなかった。

その気づかいが、ありがたかった。

そして、私の方はと言えば。

数日間は思い出して枕を濡らしたりしたけれど、今はもうすっかりさっぱり、未練はない。

未練なんか、持ってる暇なんかない。

返って新しい事にチャレンジする活力にもなった。

そう思える。

――よしっ。

後顧(こうこ)(うれ)いは無し。

前進あるのみ。

私は、これから仕事に生きるのよっ!