「新聞……取りにいかなきゃ」

たぶん、地元のニュース欄に父の会社の倒産のことが出ているはずだ。

――見たくない。でも見ずにはいられない。

父の会社の倒産。

これは夢ではなく、紛れもなく悲しい現実。

ポストの新聞を抜き取ると私は、玄関先で新聞を開いた。

『篠原運送、ついに倒産!!』

案の定、新聞にはその見出しが踊っている。

それも地方版ではなくご丁寧に、全国版にかなり大きく掲載されていた。

『ああやっぱりこれは、悪い夢なんかじゃない』

苦い思いが胸を過ぎる。

私は、はやる気持ちを抑えながら、ドキドキと記事を目で追った。