昨夜は、ぜんぜん眠れなかった。

何処でもいつでも寝られる『快眠な人』な私も、さすがに眠ることが出来ないまま、夜が明けてしまった。

――はぁっ、と、

何度目だか分からないため息が、口を突いて出る。

私は、二階の自室のベットの上で、カーテンの隙間からこぼれてくる朝日をぼんやりと見詰めた。

昨日の、見ていられないくらい気落ちした父の姿や、四年前に病気で他界した母のこと。

それに、これからの生活の心配や大学のこと。

脈絡もなく色々なことが心の中を駆けめぐり、とても寝られる状態じゃなかった。

カタン、カタン――。

階下から新聞配達の音が聞こえてきて私は半ば反射的に、のろのろと寝不足で重い体をベットから引き起こした。

たとえ会社が倒産しようが睡眠不足だろうが、世界は回っている。

時間は当たり前に過ぎていくのだ。