「あ……れ?」

やたら懐かしい夢から覚めたとき、私は自分がどこにいるのか分からなかった。

白い天井に白い壁の、白いトーンの部屋。

微かに漂うのは、甘い花の香り。

病院?

でも、病院とは何かが違う。

白い天井には立体的な花の模様が浮き上がっているし、壁紙にもセンス良い模様が入っている。

何となく漂う『高級感』。

それが、そう感じさせるのかもしれない。

「あら、気がついた? 気分はどうかしら?」

涼やかな声が聞こえた。

その声は、トイレの女性の声に似ている気がした。

私は、声のした方、右の枕元にゆっくり視線を巡らせる。

――やっぱり、そうだ。

髪は後ろでアップにしていて、黒いタイトなワンピースの上には白衣を羽織っているけど、間違いなくトイレの女性。

彼女の綺麗なアーモンド型の二重の瞳が、心配そうに私を見つめていた。