【番外編②】
幕 間 社長・不動祐一郎の独り言

~せめてひと時のまどろみを~



   ※   ※   ※


 美由紀から電話があったのは、昨日の深夜二時過ぎのこと。

 いつもながら、なんでこんな深夜まで起きているのかこの妹は? 体があまり丈夫じゃないのだから、規則正しい生活をしてもらいたいものだが。

「もしもし、美由紀ちゃんですよ」

 そんなこと、着信表示を見れば一目瞭然(いちもくりょうぜん)だ。

「今日は、なんなんだ。疲れてるから、苦情は受け付けないからな」

「そうよねー。今日は茉莉の公休日で、顔が見られなかったからふてくされているのよね、兄さんは」

 ぶすりと不機嫌な声を作って言えば、美由紀は楽しそうにうふふと笑い声をあげて言った。

 違う。と言いたいところだが、あながち間違いとは言えないから、そこは反応せずにスルーしておく。

 確かに、あのくるくる動く表情を長時間見ないと、なんというか禁断症状めいた感覚に襲われるのだ。

 かなり、やばい状態だとは、自分でも思うが。