「で、感想はどうだ?」
隣りに座った社長が顔を近づけて、耳元で囁くように小声で話しかけてきた。
内心ドキドキしたけど、表情に出ないように私も頭を寄せて、小声で答える。
「フロントも待合室もオープンだから、若い人がターゲットなのかな、と思います」
「自分でこのホテルを使いたいと思うか?」
少し考えて自分が感じたことを口にする。
「一度は入ってみたい気はします。外観がアレなので、どんなホテルなのか気になる人は多いかもしれないって思いますけど」
「確かに、インパクトはあるな」
社長は愉快そうにクスリと笑った。
「でも、こんな風にオープンな所もあるんですね。少し驚きました」
多少のデザインの違いはあっても、ラブホテルの基本構造はみんな同じだと思っていたから、正直ここのオープンさはカルチャー・ショックだ。
フロントに渡された札の番号を呼ばれたのは、三十分後。
今日が日曜日の夜なことを考えれば、週末ならもっと待ち時間は長くなるのだろう。
でも、フリードリンクでコーヒーや紅茶を飲みながら、恋人と語らう時間は苦にはならないと思う。
現に、私も社長と顔を寄せて一見愛を語らうそぶりでラブホテル談議をしていたら、あっという間に呼ばれて驚いたくらいだ。



