視線が合ったとたんに、高崎さんの顔から笑みがスッと消えたのを、私は見逃さなかった。
同じく、談笑していた女性も、口を閉ざして私を凝視している。
その視線には、友好的とはほど遠い成分が含まれていた。
はっきり言って、『敵意』すら感じる。
――なに?
どういうこと?
二人でランチだとばかり思いこんでいた私は、この状況に、混乱してしまった。
「どうぞこちらへ」
「あ、はい……。失礼します」
ウエイトレスさんに促されて、高崎さん達の向かい側の席におずおずと、腰を落ち着ける。
でも心中は落ち着くどころか、混乱と混沌と混迷の3Kの極地だ。
久々の婚約者との、ランチデート。
何故か、愛しの婚約者殿の隣には見知らぬ可愛らしい女性が座っていて、私をトゲだらけの視線で睨んでいる。