フワタリ……手形?

高校の簿記の選択授業でしか聞いたことがない単語の不穏な響に、私は盛大に眉根を寄せた。

一代で、小さな個人経営の運送会社を、県でも指折りの大規模な株式会社に育てあげた父は、地元でも有名人だ。

いつも自信満々で、社員をぐいぐい引っ張っていく。

文字通り、ダンプカーみたいな元気な人だ。

でも、声を詰まらせてがっくりうなだれる目の前の父には、いつものような『猛烈社長』の自信に満ちた姿は、かけらも見られない。

その姿に、私は、やっと父の言葉の意味を理解した。

会社が『父さん』じゃなく、『倒産』。

つまりが、『つぶれた』と父は言ったのだ。