「あら、まあまあまあ! やっと会えたわ茉莉ちゃん!」

咲子おばさんは、ソファーから立ち上がると赤ん坊、美由紀とスマイリー主任、もとい守さんの愛娘、八カ月になる美咲(みさき)ちゃんを胸に抱いたまま、満面の笑顔で私の方に歩みよってきた。

「こんなに素敵な女性になって。佳代さんもきっと天国で喜んでいるわね……」

おばさんの瞳の中に、うっすらと涙の膜が張る。

「お久しぶりです。咲子おばさん……」

私も母との思い出がオーバーラップしてしまい、少しうるうると目が潤んでしまう。

「美咲ちゃんも、こんにちはー」

ニコニコと私たちの様子を見ていた美咲ちゃんのもみじみたいな手を握り、声をかけると「にぱっ!」と天使の笑顔を向けられる。

ふふふ。いつ見ても美咲ちゃんは、エンジェルだ。

守さんが、でろでろのパパ馬鹿になるのもうなずける。

「まったくもう、祐ちゃんってば、茉莉ちゃんとお付き合いしているなんて一言も教えてくれないんだから。みぃちゃんに聞いた時には、驚くやら嬉しいやらで大変だったのよ。本当、今日会えるのを、楽しみにしていたわ。ねえ、彰成さん!」

ニコニコと話を振られた彰成さんこと、祐一郎さんのお父さんは、少しだけ目元をほころばせた。

――ような気がする。

「まあ、立ち話もなんだから、座りましょうか」

咲子おばさんに促されてソファーに腰を落ち着けようとしたとき、入り口のドアがパタリと開いた。