――ああ、私って泣き虫でいけない。

「おいで。いいものを見せてやる」

いいもの?

祐一郎さんに手を引かれて連れていかれたのは、使われた形跡がなく整然と整えられた脱衣所兼洗面所。

この奥には、大人が余裕で四人は入れる、かなり広いバスルームがある。

祐一郎さんは、電気のスイッチの上にあるボタンを押してドアを開けた。

その先に広がる光景に、私は目を見張った。

そこには、満天の星空が広がっていた。

北斗七星にカシオペア、そしてオリオン。

記憶の片隅にある正座たちが天井一杯に広がり、きらきらと幻想的な光を放っている。

キラリ、と流れ星が青紫の尾を引いて落ちていく。

それは、とても幻想的でうつくしい、プラネタリウム。

「きれい……。ここって、こんな仕掛けがあったんですね」

「ああ。掃除のときには普通のライトしか付けないから、気づかないだろうな」

と言いつつ、祐一郎さんはなぜか、外れかけていた私の制服のボタンをさらに外し始めた。

「……祐一郎さん、何してるんですか?」

「脱がせている」

「はい?」

なぜに、私の服を脱がせるのでしょうか?

あれよあれよという間に制服をポイっと脱がされ、「はいバンザイ」と、Tシャツを脱がされ、「はい足上げて」と五分丈のスパッツを脱がされた段階で、私はハッと我に返った。

「ま、待ってください。何してるんですかっ!」

「何って、風呂場にいるんだから、風呂に入るんだろう?」

「えっ!?」

当然のことのように言うと、祐一郎さんは自分の服を超早業で脱いでしまった。

下着も全部、それはもう潔いくらいにスッポンポンだ。