「後で、亀子の水槽も同じ仕様に作り直そう」

「え、でも、かなりお金がかかるんじゃ……」

それも、半端ない金額な気がする。

「じゃあ、給料から天引きするか?」

「えっ!?」

ぎょっとする私の頭を撫でて、祐一郎さんは「冗談だ、ばか」と苦笑した。

「亀子は、二人で掬ったミドリガメだからな」

そう言って祐一郎さんは、昔を懐かしむように目を細める。

「覚えてたんですか?」

「当たり前だ。じゃなきゃ、亀雄を飼ってないし、亀雄と名づけていない」

私の大切な思い出は、祐一郎さんにとっても忘れ難い思い出だった。

その事実が、とてもうれしい。

と、そのとき、はじめて見る同族に興味津々の様子で陸場で動き回っていた亀たちに、変化が起こった。