「ビジネス……ですか?」
社長が私にいったいどんなビジネスの相談が?
まったく想像がつかない私の脳内を、クエスチョンマークが団体で通り過ぎていく。
「単刀直入に言うが、ここで一緒にくらさないか?」
「……えっ!?」
思わず語尾が変な風に上がってしまったのは、私のせいじゃない。
「ここで、一緒に……ですか?」
それって、もしかして同棲っていうのではないでしょうか?
ラブラブな恋人たちがイチャコラ――
もとい、離れたくなくて一緒に暮らすのが同棲だと認識していましたが、私。
それが何で、ビジネス?
首を傾げまくる私の様子に、優しい社長は分かりやすい説明をしてくれた。
「まあ、ルームシェアってやつだな」
「ルームシェアですか?」
「ああ。俺は空いている十二畳間一部屋をお前に提供する。お前は部屋を使う代わりに、亀雄(かめお)の世話をする、これが条件のルームシェアだが、どうだ?」
どうだって、腕組みをされて俺様モードで言われても、『かめお』さんなる人物を知らない私は答えようがない。だから、素直に聞いてみた。
「かめお、さんのお世話ですか?」
「そう、亀雄の世話」
そう言って、社長は壁際の水槽を指さした。
そこには、水中をすいすいと泳ぎまわっている、白い王子様の姿がある。
思わず、吹き出しそうになって下を向く。
いや、亀子さんに亀子さんって名前を付けた私が言える立場じゃないのは分かっているけど。
「……かめおって、亀の男ですか?」
「いや、亀の雄(オス)だが?」
「社長のネーミングセンス……」
「なんだよ」
最高です。



