今日の社長は、怖いくらいの激甘モードだ。
お腹も胸も羞恥心もいっぱいいっぱいだった私が、おかわりを辞退すると「じゃあ温かい飲み物でも持ってくるか」と言ってキッチンに消えた。
社長がこんなにまめまめしく世話をやいてくれる人だったなんて、普段の俺様モードからは想像もつかなかった。
とにかく『これどんな羞恥プレイ?』と、疑問に思う状態からやっと解放された私は、社長にはぎ取られたタオルケットをすかさず羽織った。
しばらくして両手にマグカップを持って戻ってきた社長は、テルテル坊主と化した私を見て面白そうに鼻を鳴らしたけど、タオルケットをはぎ取る気はないようだ。
「ほら、ミルクココア」
私の前のローテーブルに湯気の立つマグカップをコトリと置くと、社長は自分のマグカップを持ってテーブルを挟んだ反対側のソファーに腰を下ろした。
よ、よかった。
また膝の上に抱っこされたんじゃ、下がった熱が上がりかねない。
「ありがとうございます。いただきます」
ホッと安堵して、マグカップを手に取り甘い香りが立ち上るミルクココアをコクリと一口、口に含む。
ああ、おいしい。
と、ひとごこちついたところで、社長がおもむろに口を開いた。
「さて、ここからはビジネスの相談なんだが」
さっきまでの激甘モードはどこへやら。
いつもの俺様モードのスイッチが入ったような社長の硬質な声音と態度に、私は驚いて目を見張った。



