「……え?」
男の子?
いつの間にか隣にきていた社長の言葉に、私は目を丸める。
そう言われれば、飼育書で亀子さんの性別を調べたときに、確かオスは前足の爪がメスより長くて尻尾が太いって書いてあったような。
この亀さんの前足の爪はまるで魔女の爪のように長くて、尻尾も亀子さんの倍くらいの太さがありそう。
確かオスはこの長い爪を使ってメスに求愛行動、つまりプロポーズをするのだという。
「この子、何歳なんですか?」
「飼い始めた十年前にはそこそこ大きかったから、お前の亀よりは年上かな?」
離れていた間に、同じミドリガメを飼っていたなんて、なんだか不思議。
だけど、妙にうれしい。
もしも、一緒に亀子さんを掬ったことがきっかけだったりしたら、もっと嬉しいな。
「ほら、せっかく作ったんだから、冷めないうちに食べてくれ」
ポン、と頭を撫でられた私は、そのまま社長に手を引かれてソファーに座らされた。
ただしソファーの上ではなく、ソファーに座る社長の膝の上に。
それも、ご丁寧にタオルケットを外されて。



