「熱が下がったんなら、何か胃に入れた方がいいな。少し待ってろ」
タオルケットをぎゅっと抱き込んでペットボトルを握りしめて羞恥心と格闘していた私の頭をひと撫ですると、社長はベッドを降りて部屋を出ていった。
パタン――とドアが閉じた瞬間私はむくりと身を起こし、おそるおそるタオルケットをめくって、自分の服装をすかさずチェック。
よ、よかった~。下は履いてる、履いてるよ。
これで、下がすっぽんぽんだったら泣くよ、私。
それにしても。
いくらか落ち着きを取り戻した私は外れていた上着の前ボタンをきっちりと一番上までしめながら、周囲をゆっくりと見渡した。
社長が付けていったサイドテーブルのスタンドの明かりに照らされた室内は、なんとなく見覚えがあった。
うろ覚えだけど、新居の三つの部屋のうちのベッドが設置されていた寝室が、こんなかんじだったような。
若干、内装とベッドのサイズが違う気がするけど。
ここって、新しい私の部屋……じゃ、ないよね?
社長が着替えを用意してくれたってことは、社長の部屋なのかな?
私は自分がいる場所がどこなのか確かめようとベッドをおりて、社長が出て行ったドアに向かおうとした。
でも、自分があられもない格好をしていること思い出して、さっきまで抱えていたタオルケットをすっぽりと頭からかぶって両手で前を抑える。
なんかこれって、等身大のテルテル坊主? に見えなくもない。
うん、不格好だけど、腿を丸出しで歩くよりはずっといいか。



