なぁーんだ。話って会社の職種のことかぁ。

それなら、面接日に深夜帰宅したとき報告済みだから、ノープロブレムだよ社長!

と、脱力しながら自分のアイスカフェオレをゴクリと口に含んだ瞬間だったから、目も当てられない。

私は『ぶーーーっ!』っと盛大に、アイスカフェオレを吹きだした。

「茉莉、汚いぞ」

父は、愉快そうに体を揺らして笑っている。

テーブルが広かったおかげで、対面にいたにも関わらず、アイスカフェオレの噴霧攻撃を免れた社長も、これまた愉快そうに笑っている。

ううう。何も、それをばらさなくても!

私が、羞恥に耐えながら無言で台ふきでテーブルを拭いていると、さらに社長は爆弾を投下し続ける。

「それで、私も茉莉さんのことを好きだったと、改めて自覚しまして。現在結婚を前提にお付き合いさせていただこうかと考えています」

なにそれ?

なんですか、それっ?

私、初耳なんですが、社長ーーーっ!

ふつう、そういうことは、親に言う前に私本人に言うものではないでしょうか?

あまりのことのなりゆきに、私が言葉にできずに口をはくはくさせていると、父が耐えきれないといように『ぷっ!』っと噴きだした。

そのまま、苦しそうに文字通り腹を抱えて笑っている。

「それはそれは、ご丁寧におそれいります。で、肝心の茉莉の方は、どうなんだい?」

まだ笑いの余波で苦しそうにしている父に問われ、私は半ばふてくされて口をとがらせて言う。

「慎重に、検討させていただきます!」