あの車中での告白劇から、一か月ほどたった七月初旬の午前十時。

まだ午前中だというのに、カンカン照りの太陽がアスファルトを照らしていた。

真っ青な空には、綿菓子みたいな入道雲が浮かんでいる。

季節はもうすっかり真夏モードだ。

そんな明るい太陽の下、私は、父の運転する引っ越し荷物を積んだ軽トラックの助手席のおさまり、一路、新居の株式会社FUDOUの社員寮を目指していた。

移動距離は、車で三十分ほどで、社員寮は市街地の中心部にあるから、今までの郊外の住宅街とは環境が大きく変わる。

寮から会社、ホテルクロスポイントまでの距離は今までの三分の一。大学までの距離は少しだけ遠くなるが、電車で一駅分だから誤差の範囲。

通勤面で、かなり便利になるのは素直にうれしい。

家を出てからすでに二十五分ほどたっているから、あと五分で到着予定だ。

後ろに流れていく街の景色は、緑が減り都会の街並みに変わっていく。

私の膝の上には、愛亀の亀子さんが入った水色のバケツが乗っている。

バケツの水がこぼれないようにしっかりと両手で抱えなおすと、バケツの中から見上げている亀子さんのつぶらな瞳と視線があった。