俺を好きだというなら、その『証(あかし)』を見せてくれ。

「で、告白をすませた茉莉ちゃんは、次にどうしたいのかな?」

『茉莉ちゃん』と、初めて名前を呼べたことに喜びを感じている暇もなく。

「……え、は、あの……別に、どうしたいとか、そんなことは」

茉莉はどうも、気持ちを伝えることしか考えていなかったようだ。

だから、その先を問われても、頭の中は真っ白で何も言葉が浮かばないのだろう。

ワタワタと慌てる様子も可愛く見えてしまうんだから、自分が思っているよりも、俺は茉莉に惚れているらしい。

後で美由紀が知ったら、『してやったり』と、会心の笑みを浮かべるに違いない。

それでも、かまわない。

俺は、茉莉が欲しい。

社長でも昔なじみのお兄ちゃんでもなく、ただの男として、篠原茉莉という一人の女に恋い焦がれている。

そう思っている自分の気持ちを、今はっきりと自覚していた。

「ふつうは、愛の告白をしたら、次にすることは決まってるよな?」

そう言ってツンツンと、俺は、自分の唇を催促するみたいにつついて見せた。

「えっ……?」

まさかの、俺からのキスの催促に、茉莉は信じられないように目を見開いた。

「ほぉれ」

と、再び、今度は茉莉の唇をつっつけば、ヒンヤリとした指先に伝わるやわらかな唇の感触と温もりが、俺のなけなしの理性を突き崩しにかかる。