「っつ……」
「おい、大丈夫か? 足を痛めたのか?」
転ばないように体を抱えて問えば、茉莉は苦痛を耐える表情で無理に笑ってみせる。
「え、ああ、平気です。ちょっとひねっただけなんで、大丈夫です」
「いいから、まずは座れ」
茉莉を抱えるようにして椅子まで連れて行って座らせる。
ケガの状態を確認するため、俺は椅子に座った茉莉の前に片膝をつき、痛めた右の足首をそっとつかんで少し持ち上げた。
かなり痛むのか、茉莉はぐっと歯を食いしばっている。
急な腫れは見られないから、たぶん。
「骨折はしていないようだな。捻挫か……」
やはり、履きなれないハイヒールはまずかったか。
いきなり足を掴みあげたせいで、ワンピースの裾が限界までまくれ上がって、かなりきわどい状態になっている。
茉莉は、まくれ上がった裾をギュッと引っ張り下ろし、顔を朱に染めて声をしぼりだす。
「だ、大丈夫です。ほんっとうに大丈夫ですからっ!」
「ちょっと待っていろ、今、医者を呼んでくる――」
俺が立ち上がるのと凛とした声が響いてきたのは、ほぼ同時だった。



