「これから一緒に仕事をするんだから、素の俺を知ってもらわなきゃはじまらないだろうが」

『で、いきなり俺様トークを炸裂させて、せっかく正式採用で喜んでた茉莉のメンタルを奈落の底に突き落としたわけね?』

あまりに的確過ぎる美由紀の洞察に、思わず返す言葉が浮かばない。

なぜ、そこまで正確に俺の行動が読めるんだ?

千里眼か? 怖すぎるぞ、お前。

『ねえ、兄さん』

「なんだよ」

『いくら兄さんでも、茉莉を本当に傷つけたら、あたし許さないよ?』

その声はひどく真剣で、美由紀にとって茉莉がどれほど大切な存在なのか、改めてわかった気がする。

血を分けた唯一の妹に嫌われたくはない。

俺だって、なにも茉莉を傷つけたいわけじゃないのだ。

だから俺は大きなため息の後、はっきりと明言した。

「わかった。肝に銘じておく」