【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】



しかし、いくら使わないものだからと言っても、俺としては「はいそうですか」と受け取りにくい。

「じゃあ、商品代を払うから」と言えば、「貰いものだからタダなんです」とニッコリ一蹴されてしまった。

――あれでなかなか、頑固なところもあるんだよなぁ。

気が弱いだけのYESマンはいらないから、有能な秘書が欲しい社長としては嬉しい発見ではあるが。

「あの――」

一向に出てくる気配がない俺のことが気になったのか、おずおずと給湯室の中を覗き込んだ茉莉は、俺がコーヒーを入れているのを見て驚いたように目を丸める。

「あ、私がいれますよ?」

俺の側まで歩み寄れば時すでに遅く、コーヒーメーカーは、ポコポコと湧き上がったお湯でドリップをし始めた。

香ばしいコーヒーの良い匂いが、辺りに立ち込める。

「もう、準備終わっちゃいましたね。すみません気が付かなくて。後は私がやりますね」

そう言って茉莉は、食器棚からコーヒーカップを一つ取り出しトレーの上に置く。

俺は、無言でそこに、もう一つカップを付け足した。

茉莉は、トレーの上に乗った2つのコーヒーカップと俺の顔を見比べて、嬉しそうに表情を輝かせる。

「ありがとうございます。いただきますっ」

いや、だから、ついでだって――

まあ、いいか。

茉莉の嬉しそうな笑顔を見ていたら、なんだか、自分に言い訳しているのが馬鹿らしくなってきた。

俺は苦笑を浮かべて、ニコニコと機嫌が良くなった茉莉を伴い、コーヒーカップが2つ乗ったトレーをもって社長室に戻った。