「ありがとうございますっ!」
心からの感謝の気持ちが込められた言葉とともに、茉莉は深々と頭を下げる。
「後で社会保険関連の書類を渡しますので、後日提出してください」
「はい……」
頷く茉莉の瞳には、うっすらと涙の膜がはっている。
「良かったね、茉莉ちゃん。これからもよろしく」
親指をぐっと立てて、守が、祝福の笑顔を浮かべた。
「色々とご指導、ありがとうございました。これからも……っ」
『よろしくお願いします!』
続くはずの言葉は、ポロリとあふれ出した嬉し涙が押し流してしまった。
「あ、あっり……ござ、ますぅ……」
茉莉は手の甲でぐしぐしと涙をぬぐい口を開くが、紡がれる言葉は掠れて、更に涙はあふれ出す。
そのどこか幼い少女めいた仕草をみて、昔を思い出した俺は、なんともほほえましい気持ちになる。
「あーあ。社長、女の子泣かしちゃだめじゃないですかー」
「誰が泣かすか。今のはむしろ、お前のせいだろう?」
「それは、違います。悪いのはいつも社長です。ボクは、いつでも正義の味方ですから」
「誰が『ボク』だ。気色悪い。お前はもういいから、早く帰れ」
「はいはいはい。お邪魔虫は、馬に蹴られないうちに帰りますよー」



