「で、どうなんだ?」
「……ご想像どうりです、ご主人様。間違いなく同一人物でございますだ」
やはり、間違いなかったか。
真実を知りえた安堵ではない、何かもやもやとしたものが、心の中に湧き上がる。
「そうか……」
「意中の人が婚約者持ちだったって知って、ショックしちゃった?」
興味津々の薫の問いに、苦笑いしか浮かばない。
「そんなんじゃない。ただ気になっただけだ。今のところ茉莉の方は気づいていないみたいだし、あえて言うつもりはないから、お前もそのつもりでいてくれ」
「へいへい。了解しました、御曹司さま」
「こちらこそ。夜分おそくにありがとさん、名医殿」
俺たちは、カラカラと同じように笑いあってスマホを切った。
離婚したばかりの元夫婦とも思えないフレンドリーなふざけた会話に、我ながら苦笑するしかない。
まったく、これだから、友人以上恋人未満の関係から脱却できなかったんだ。
顔もスタイルも抜群。
だが、色気を感じられないのは、薫の男気溢れる性格のせいもあるだろう。
仕事が第一、色恋沙汰は二の次。
酒を飲みかわすには楽しいが、愛を語らうには俺と薫は似すぎている。



