コンビニからホテルクロスポイントまでは、車で約三分しかかからない。

予定時間にはだいぶ早いが、いつでも面接をはじめられるように待機していた。

とは言っても、気持ち的なものだけで実質はノートパソコンに向かって仕事をしていたわけだが。

しかし、十分たっても二十分たっても、茉莉は現れなかった。

迷いようがない一本道で、ラブホテルという性質上周囲に建物は建っていない。

つまり、間違いたくても間違えようがない目的地のはずだ。

――まさか、あの短い距離の間に事故にでもあったとか?

少なくとも、なにがしかのトラブルが起こっているのでは?

そんな心配が予定時間の二分前になってピークに達した俺は、駐車場にでて茉莉が来ていないか確認しようと席をたち、廊下への出入り口の木製のドアを勢いよくあけた。

瞬間、『ゴイーン』というひどくヒョウキンな音とともに、全開するはずの外開きのドアは開き切らずに中途半端な位置で止まった。

ドアの隙間から半身を出して状況を確認すれば、ドアの前で頭を抱えてうずくまっている濃紺のパンツスーツ姿の小柄な女性が一人。

どうやら、俺の開けたドアが脳天を直撃したらしい。

「あ、悪い……って、君、どちら様?」

この状況で部屋の前にいる人間は茉莉しか考えられないが、心配の反動で若干むっとしていた俺は、声を低めてしらっと質問した。