「足首の方は軽い捻挫だから、しばらく無理をしなければ心配ないわ。心配なのは、こっちの方ね」
足首にシップを貼って手際よく包帯を巻いてくれた後、薫さんは笑いながら私のほっぺをツンツンと突っついた。
「足が痛くて泣いたんじゃないでしょ? ほぉら、お姉さんが聞いてあげるから言ってごらんなさい」
向けられる笑顔があまりに優しくて少しのかげりもなくて、それが返って私の中に言いようのない罪悪感みたいなものを育ててしまう。
――こんなの嫌だ。
薫さんのこと、とても好きなのに。
こんな、モヤモヤとした煮え切らない気持ちを感じてしまうなんて、嫌だ。
「とても、気になる人がいて……」
薫さんは急かすことなく、私の次の言葉を待ってくれている。
私は社長の事とは言わずに、今の自分が感じていることや正直な気持ちを、洗いざらい話してみた。



