別に、社長に彼女がいたって、奥さんがいたって、私には関係ない。
企業の社長なんだもの。
いい年なんだもの。
恋人や奥さんの一ダースぐらいいたって、おかしくないじゃない。
私は、ただの昔のご近所さんで、ただの、社員。
社長にとって、それ以上でもそれ以下でもない。
だたそれだけのこと。
そのはずなのに。
どうしてこんなに、心の奥がギュッと締め付けられるように痛いんだろう?
なんでこんなに、目の奥が熱いんだろう?
その熱は、医務室で薫さんの顔を見たとたんに、決壊してしまった。
ぽろぽろぽろぽろ、あふれ出す涙の雫。
「あら、あら、茉莉ちゃんじゃないの。どうしたの?」
「薫さぁん……」



