不意に、記憶のあちらこちらに散らばった点と点が繋がって、やっと、一つの像が綺麗に浮かび上がり、驚いた私は足を止めた。
「あ……」
「どうかされましたか?」
「あ、いいえなんでもないです」
――私は、バカだ。
なんで、今まで気付かなかったんだろう。
あの時。
一か月半前のホテルロイヤルのエレベーターの中で、私は社長に会っている。
偶然乗り合わせたエレベーターの中で、まるで外国の恋愛映画のような濃厚なキスシーンを繰り広げてくれた、破廉恥カップル。
あの美しい女性が、ここの勤務医の磯部薫さん、そして。
エレベーターの鏡越し、私の視線に気付き、むかっ腹の立つ笑いを向けてきたあの男。
あれは。
あの人が、薫さんの恋人の『朴念仁』。
イコール、不動祐一郎。
つまりは、私の雇主の社長様だ。
――なぁんだ。
そうなんだ。
あの、綺麗で優しい女医さんが、社長の彼女――。



