総支配人さんに肩を貸してもらいながら、ひょっこり、ひょっこり、右足を庇いつつどうにか歩く。
履きなれない靴は、足を傷める。
どんなに着飾って外見を綺麗にしても、中身が釣り合っていない。
私は、シンデレラには、程遠い。
そんな軽い自己嫌悪を感じて、小さな溜息がもれた。
「だいぶ痛みますか?」
「あ、いいえ。大丈夫です。あの……」
「はい?」
「社長が言ってた、『薫』さんって、磯部薫さんのことですよね?」
「はい、そうです。薫様のことを、ご存知なのですね」
――薫、『様』?
お医者さんとはいえ、自分のホテルの勤務医に対して、『様付け』、
総支配人さんって、名前を呼ぶときみんな様付けなんだろうか?
少し、腑に落ちないものを感じた。
「はい。以前、こちらのマフィンをご馳走になったことがあって……」
「そうでしたか」



