「それと――」

と言葉を切って、社長はニッコリと微笑んだ。

日頃めったに見ないその表情に、思わず腰が引けてしまう。

――怖い。

そして、ウソ臭い。

「会食が首尾よく済めば、特別ボーナスをやるから、せいぜいがんばるんだな」

――特別ボーナス!?

社長の口から飛び出したきっぷのいい言葉に、目を丸める。

ただで食事をして特別ボーナスまで貰えるなんて、そんな美味しい話、あってもいいの?

何か、裏があるんじゃ?

ふと、そんな疑問がよぎったけど、『特別ボーナス』の威力の前に、すぐにどこかに消えてしまった。

「は、はい、頑張りますっ」

私は、張り切って心の中で、ガッツポーズを決めた。

そしてそれが、とんだ大間違いだったことを思い知るのは、わずか十数分後のことだった。