【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】



「何をやっている?」

至近距離で耳元に響いてきたため息交じりの低い声音に、身体全体がピキリと固まる。

鼻腔に届くほのかに甘い柑橘系の香りが、記憶中枢網の端っこに埋もれている『何か』を呼び起こそうとする。

――あれ、この香り……。

前にも、嗅いだことがある?

でも、

それが何なのか思い出すことよりも、

今、目の前に直面している、自分を襲っているこの状況を理解することの方が先決だ。

身体全体をすっぽり包む、その束縛と温もりの正体を、まだショックから抜け切らない脳細胞で、ノロノロと分析する。

腰に回されているのは、リーチの長い、力強い腕。

街灯の薄明りでもわかる、目の前には、見覚えのあるダークグレーのスーツと濃紺のネクタイ。

「……え?」

――社長に、助けられた?

というか、抱き留められた?