「一般常識的に考えれば分かるだろうが、どこの世界に、社員の運転手をする社長がいるんだ?」
そうですよね。
わかります。
よーくわかります。
だけど、
「あの、大変申し上げにくいんですが、私、まだピカピカの若葉マーク……」
――なんです。
ごにょごにょごにょと、語尾が情けなく口の中に消える。
「別に問題ない」
問題あります。ありありです。
今乗っている軽自動車以外運転したことがないのに、
いきなり、こんな、ビックサイズな車、
それも、こんな、高級車、
恐くて、運転できないよーーーっ!
抗議の視線もなんのその、
意に介した様子もない社長は、さっさと『助手席』に乗り込み、シートベルトを締めてしまった。



