「でも、一緒に食事をするんでしょ?」

「うん、まあ、そうみたいだけど」

スポンサーって言ってたから、大事なお客様だよね?

ああ、気が重いなぁ。

それにしても、どうして、お供が『私』なんだろう?

ピカピカの新人社員の私を大切な接待の場に連れて行って、社長にどんなメリットがあるんだろう?

疑問ばかりが浮かんでは消える。

「じゃあ、オシャレしていかないと、だね」

「え、面接のときに着たパンツスーツで行こうと思ってるんだけど、ダメかな? 社長もスーツでって言ってたし」

「うーーん。そうだねぇ」

美由紀は腕組みして何やら考えを巡らせたあと、ニッコリと満面の笑顔で言った。

「接待だし、『地味ぃな』パンツスーツでいいと思うよ」

『地味ぃな』のイントネーションに、何かひっかかるものを感じたけど、美由紀も太鼓判を押してくれたことだし、

よし、

今日は、パンツスーツで出社することにしよう。