私の人を見る目がないのが悪いと言えばそれまでだけど、なんだかとっても裏切られた気持ちだ。
残念、というより、それはもはや哀しみの領域に達している。
そしてその哀しみは、憤りに転化した。
「……不動明王」
私がもらした感情を抑えた低い呟きに、社長はあくまで面白そうに片眉を上げる。
「ん?」
「私が付けた、社長の、ニックネームです」
「へぇ。不動明王ねぇ。焔を背負う阿修羅のことか。良いネーミングセンスをしてるじゃないか。そんなにカッコイイか俺は?」
少しくらい反撃してやろうと思ったけど、敵さんには、まったく効いていない。
器が違う。
それに、敵さんは、無敵の雇い主。
私は、哀れな雇われ人。
この立場は、覆せない。
それくらいのことは、ピカピカの社会人一年生の私だって、分かっている。



