目の前に繰り広げられている光景に驚いて、目を見張る。
システムキッチンの人工大理石の白い天板、
その上に置かれたコーヒーメーカーをセットし終えた社長は、ちょうどスイッチを入れるところだった。
どうやら社長は、コーヒーが飲みたかったらしい。
私がベソベソ、ベソをかいていたから、頼むに頼めず自分で入れにきたようだ。
「あ、私がいれますよ?」
トコトコと社長の側まで歩み寄れば時すでに遅く、コーヒーメーカーは、ポコポコと湧き上がったお湯でドリップをし始めた。
香ばしいコーヒーの良い匂いが、辺りに立ち込める。
――ああ、私って、気が利かないなぁ。
お父さん相手なら、言われなくても飲みたいタイミングなんて、すぐに分かるのに。
「もう、準備終わっちゃいましたね。すみません気が付かなくて。後は私がやりますね」



