「失礼しまーす!」
いつも通りに、仕事の疲れなどみじんも感じさせない元気ボイスのスマイリー主任に続き、部屋に入ろうと出した足が、我知らずぴたりと止まる。
『大丈夫!』
『ぜったい大丈夫! 正社員決定~♪』
白天使茉莉がガッツ・ポーズを作る傍らで、黒悪魔茉莉が、
『ダメダメ! ぜったいダメ! クビ確実~♪】
と、ラインダンスを踊っている。
ごくり、と緊張と一緒に両方飲み下し、
「失礼します……」
フットワークの軽いスマイリー主任に続き、おずおずと社長室に足を踏み入れれば、社長は、いつもの部屋の最奥に配置されているデスクに鎮座して、何やら難しい表情でパソコン画面を睨んでいた。
チラリと上げた銀縁メガネ越しの視線が、いつもながらクールで感情が読めない。



