「スマイリー主任ねぇ。相変わらず、ニックネーム付けるの好きだねぇ、茉莉は」
愉快そうに、美由紀はクスクスと笑う。
「なんか、楽しいじゃない。名前覚えるのにも楽だし」
「で、ちなみに、社長のニックネームはなんて付けたの?」
一応、付けたのは付けたんだけど。
「……不動明王」
ボソリと呟いた瞬間、美由紀は『ぶっ!』と、盛大にふきだした。
どうやら笑いのツボにはまったらしく、そのまま肩を震わせて笑っている。
――そんなに、面白いかな?
背が高くて眼力がやたら強くて一見恐そうだから、名前にかけて付けたんだけど、『不動明王』。
「いい、いい。それ、最高。本人に教えてあげなよ、そのニックネーム」
――まさか。
いくら昔の知り合いでも、今は、雇主の上司様。
さすがに、本人に教えるなんてできない。
「私のニックネームは、脳内妄想専用だから、誰にも教えないですー」



