よぉーーし!

今度、茉莉特別スペシャルブレンドを、飲ませて差し上げよう。

美味しいって言ってくれると、良いなぁ。

なんて、

心密かに、そう目論む。

「でも、缶コーヒーのブラックって、苦さ倍増な感じ、しませんか?」

「苦いのが美味いんじゃないのか?」

「私は、苦いのは、苦手で……」

ダジャレを飛ばしてみればそれに気付いたのか、社長はわずかだけど口の端を上げた。

――おお、笑った!

なんだ、そうか。

一見、無表情に見えるだけで、本当に無表情なわけじゃないんだ。

その動きがあまりに微小だから、分かり辛いけど、ちゃんと、私の言うことに反応してくれている。

それは、とても、素敵な発見。

――やだ、なんだか、かなり嬉しい。

思わず、私も、自然と口の端が上がった。