無糖に微糖に、まったりカフェオレ。
缶コーヒーの見本市のような冷蔵庫内の様子に、点目になってしまった。
「もしかして、社長って、缶コーヒーマニアなんですか?」
思わず問えば「そんなワケあるか」と、いつの間にか、隣に来て一緒に冷蔵庫を覗きこんだ社長がボソリと言う。
「確かに、俺も飲むが、ほとんどは来客用だ」
「ですよねぇ。あ、でも、お砂糖が入ってるのは、飲みすぎると、身体によくないですよ。家も父が甘党でついつい飲みすぎるので、缶コーヒー禁止令をだしてるんです」
おどけて言えば、社長は少しだけ目元をほころばせたみたいに見えて、なんだか嬉しくなる。
「俺は、ブラックしか飲まないから、別に問題ない」
「そうなんですか?」
――社長は、ブラック党、と。
心のメモ帳に、しっかり書き込む。



