【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】



――ええっと、まさか、この状況は……。

ドジっ子の本領を発揮してスッ転んだ私を、誰かが身を挺して庇ってくれた?

誰が?

って、この状況で当てはまる人物は、たった一人だけ。

「社、社長!?」

恩人の雇い主様を、あろうことか座布団代わりに尻に敷いてしまった。

泡をくった私は振り向きざま、勢いよく立ち上がろうとした。

その刹那、グイッと強い力で引き戻される。

反動で、今度は顔から『バフン』と社長の胸元にダイビング。

ほのかな、柑橘系の爽やかな香りが鼻腔をくすぐった。

――な、な、何っ!?

何なの、この状況!?

今度は顔が温かいのを通り越して、一気に熱くなる。

「いいから、少し落ち着け」

呆れたような、ため息交じりの低い声が、耳元に落とされる。