【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】



全身に走る一瞬の浮遊感と、ほとんど同時に襲いくる冷たい戦慄。

このままこの狭い通路で後ろに倒れこんだら、私の後頭部を待っているのは壁面収納の木製の扉。

――あの扉、立派で、かなり堅そうだったなぁ。

この勢いでまともにぶつかったら、ただじゃすまない気がする。

って、ドジすぎるよ、私。

妙に長く感じる数瞬の間。

そんなことを、緩慢な思考でノロノロと考える。

武道の達人ならぬ、どちらかと言えば運動音痴の私に受け身など取れるはずもなく、そもそもそんなことができるようなら、こんな窮地に陥ってはいない。

体は重力にひかれるまま、後ろに自由落下。

私は、悲鳴すら上げられずに唯一取れる防御対策、というか防御反応で、思いっきり目をギュッっと瞑りこんだ。