あと見てないのは――。
手が届かなくて開けていない、キッチン上の吊戸棚の開き戸の中。
「あそこしかないかぁ」
足場になりそうな台は見当たらないし、どうしたものかと少し悩んだ末、私は思いっきり背伸びをしてみた。
でもいくら爪先立って手を伸ばしても、身長が伸びるわけじゃなし、開き戸の取っ手には、届きそうで、どうしても届かない。
「っくっ……ううっ、どどかない」
ダメ押しでぴょんと飛び跳ねれば、取っ手に手がかすった。
「もうちょっと!」
もう一度、一歩右足を引いて弾みをつけて飛び上がる。
伸ばした手が取っ手に触れた瞬間、すかさず掴んで手前に引いた――のがいけなかった。
確かに、扉は開いた。
でも、思いの外反動の付いた私の体は、グラリと後ろに傾いでしまった。



