もしかして、
不動社長って、中身はあの優しかった『祐兄ちゃん』のまま、変わってないのかもしれない。
ううん、きっと、変わってないんだ。
――だったら、とても、嬉しい。
そんなことを考えながら、思わずニンマリと頬の筋肉が緩んでしまう。
「あの、社長さんは、まだ帰らないんですか?」
「身内の役職に、『さん』付けはいらない」
呼び方を注意されたことよりも、『身内』と言ってもらえたことに、更に頬の筋肉は緩んでしまう。
「あ、はい。わかりました」
ニマニマしつつも素直にうなずき、同じ質問を繰り返す。
「社長は、まだ、帰らないんですか?」
「……この書類をまとめたら、帰るつもりだが?」
どうして、そんなことを聞くのかと、訝しげな視線が突き刺さる。
でも一度、社長の中味イコール昔のままの『祐兄ちゃん』認定してしまった私には、その突き刺さる視線も、まったく痛くない。



